一人旅

今日から旦那さんは仕事で、私は一人で白い泥棒の車と対面することになった。あらかじめ収納場所を教わっていたラジエーター?に水が入っているかどうかを確認してから、レンタルしていたDVDを返しに行き、コンビニに寄ってお昼ご飯を買い、家に帰ってくる。ほんの3、4キロ程度の走行だったが、家の駐車場に辿り着く目と鼻の先でまたもやCとHの書いてあるメーターの針がぎゅぅぅんとHの方に傾く。おぉぉぉぉい。水はちゃんと入ってたじゃないのよ。と思いながら慌てて駐車してセーフ。
車を降りるとまたもやゴムの焼けるようなあの臭いがした。ラジエーター?が空になってんじゃないだろうなぁと思って確認すると、逆にその水の量が増えているではないですか。なんで?しかも、溢れて外に流れ出している形跡も。ふと下を見ると赤い液体が、軽く傾斜がついた駐車場のアスファルトの上をつーっと流れていた。ごめん、と言ってなんとなく車のお腹のあたりを撫でた。
その夜小西さんに連絡、トラックで峠を越えて駆けつけてくれた。問診の結果、私の泥棒は小西さんにしばらく預けることになった。旦那さんと3人で焼き肉を食べ、どうでもいい話とどうでも良くない話をし、解散。小西さんには10コ下の彼女がいることがわかった。

雪の日

直方のイオンモールに出掛けた帰りにエアコンが突然効かなくなった。運転は旦那さんで、何か思い当たる節があったらしくいったんファミマの駐車場に入ったが、とたんに何だかよく知らないCとHの書いてあるメーターの針がHの方に一気にぎゅんと上がった。HはつまりHotだろうから、なに、なにか沸いたのっ?!と焦る。車内は確実に臭くなってきていて、雪が降り積もるファミマの駐車場で体は確実に冷えていく。ゴムが焼けるような臭いで頭がいたい。
なんとか再び走り出したが、家から3キロの所の信号待ちでエンジンが停止。やばい、青になる!青!青!と私は叫ぶ事しかできない。旦那さんが車から飛び出して後方から車体を押し、酒屋の軒先に動かした。彼の頭に雪が降り積もっていく。…この人すてきだわぁ、と思うけれど寒さとゴム臭さで私の口からは んがぁー という声しか出ない。
小西さんに指示を仰ぎ、その場でエンジンを回復させる事は無理と判断。JAFを呼んで3キロの道のりをレッカーしてもらった。オーバーヒートでした。

白い泥棒の車

,left2010年11月、車を買いました。とても古い軽のワゴンです。旦那さんにものすごく探してもらって、良いグレードの中古がやっと見つかりました。メンテしつつ、改造しつつ、一生乗る気で買いました。20万でした。かかりつけ医はうちの旦那さん。さらにその上を行くご意見番は小西さんです。
小西さんのアドバイスにより、この車に関する様々な記録を残していくことにしました。色、艶、臭い、音、感触、などなど。一生乗るからには日々気にかけて、自らがいち早く異変を感じ取りなさい、医師たちに任せきりではいけないよ、という助言でした。いつも柔らかい印象でときどき寝癖が隠せずにいる小西さんの確かな芯みたいなものに、背中がしゅっと伸びました。書き初めに書きたい。こにしのしん。